【2020年1月】最後のセンター試験:数学ⅡBの解説をしてみる

こんにちは。

今年は最後のセンター試験が行われましたね。

数学好きの私としては記念に解いてみたくなったので、数学IIBの問題を解きついでに解説をしたいと思います。

問題部分は赤マーカーしており、多少略して記載してます。

 

しっかりした問題は東進のページからどうぞ

https://www.toshin.com/center/sugaku-2b_mondai_0.html

 

数学Ⅰや数学ⅠAや数学Ⅱの解説をお探しなら。

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第1問

 

その1:三角関数

 

(1) \(0\;{\leq}\;{\theta}<2\pi\)のとき\((\sin{\theta}>\sqrt{3}\cos{(\theta-\displaystyle{\frac{\pi}{3}})})\)となる\(\theta\)の範囲を求めたい。

\(\sqrt{3}\cos{(\theta-\displaystyle{\frac{\pi}{3}})}\)を加法定理を用いて変形すると?

\begin{align}
\sqrt{3}\cos{(\theta-\frac{\pi}{3})}&=\sqrt{3}(\cos{\theta}\cos{\frac{\pi}{3}}+\sin{\theta}\sin{\frac{\pi}{3}}) \\
&=\frac{\sqrt{3}}{2}\cos{\theta}+\frac{3}{2}\sin{\theta}
\end{align}

\(\tag{アイウ}\)
三角比の合成を用いて与えられた不等式を変形すると?

\begin{align}
\frac{\sqrt{3}}{2}\cos{\theta}+\frac{3}{2}\sin{\theta}&<\sin{\theta} \\
\frac{\sqrt{3}}{2}\cos{\theta}+\frac{1}{2}\sin{\theta}&<0 \\
\sin{\frac{\pi}{3}}\cdot\cos{\theta}+\cos{\frac{\pi}{3}}\cdot\sin{\theta}&<0 \\
\sin{(\theta+\frac{\pi}{3})}&<0
\end{align}

\(\tag{エ}\)

 

したがって、求めるべき\(\theta\)の範囲は?

\(\pi<(\theta+\displaystyle{\frac{\pi}{3}})<2\pi\;\)なので、

\begin{align}
\displaystyle{\frac{2\pi}{3}}<\theta<\displaystyle{\frac{5\pi}{3}}
\end{align}

\(\tag{オカキク}\)

 

(2) \(0\;{\leq}\;\theta\;{\leq}\displaystyle{\frac{\pi}{2}}\)とし、\(k\)を実数とする。\(\sin{\theta}\)と\(\cos{\theta}\)は\(\;25x^2-35x+k=0\)の解とする。

解と係数の関係から\(\sin{\theta}+\cos{\theta}\)と\(\sin{\theta}\cos{\theta}\)がわかる。このとき、\(k\)の値を求めると?

 

解と係数の関係から、\(\sin{\theta}+\cos{\theta}=\displaystyle{\frac{35}{25}}=\displaystyle{\frac{7}{5}}\)、\(\sin{\theta}\cos{\theta}=\displaystyle{\frac{k}{25}}\)

また、\(\sin^2{\theta}+\cos^2{\theta}=1\)も使うと、

\begin{align}
k&=25(\sin{\theta}\cos{\theta}) \\
&=25\;\frac{(\sin{\theta}+\cos{\theta})^2-(\sin^2{\theta}+\cos^2{\theta})}{2} \\
&=\frac{49-25}{2}=12
\end{align}

\(\tag{ケコ}\)

 

\(\sin{\theta}\;\geq\;\cos{\theta}\)のときの\(\sin{\theta}, \cos{\theta}\)の値は?

 

2次方程式を素直に解けば良い。

\begin{align}
25x^2-35x+12&=0 \\
(5x-3)(5x-4)&=0
\end{align}

条件に注意して、\(\sin{\theta}=\displaystyle{\frac{4}{5}}, \cos{\theta}=\displaystyle{\frac{3}{5}}\)\(\tag{サシスセ}\)

 

このときの\(\theta\)の範囲は?(正しいものを選ぶ問題)

\(0\;{\leq}\;\theta\;{\leq}\displaystyle{\frac{\pi}{2}}\)のとき\(\sin\)は単調増加なので\(\sin{\theta}=\displaystyle{\frac{4}{5}}\)がどのあたりかを探ればいい。

\begin{align}
\sin{\frac{\pi}{4}}&=0.707… \\
\sin{\frac{\pi}{3}}&=0.866… \\
\frac{4}{5}&=0.8
\end{align}

なので、

 

\begin{align}
\displaystyle{\frac{\pi}{4}}\;\leq\;\theta<\displaystyle{\frac{\pi}{3}}
\end{align}

が正解\(\tag{ソ}\)

 

その2:指数対数

 

(1) \(t\)は正の実数。\(t^{\frac{1}{3}}-t^{-\frac{1}{3}}=-3\)とする。

このとき、\(t^{\frac{2}{3}}+t^{-\frac{2}{3}}\)の値は?

 

両辺2乗してやればいい。

\begin{align}
(t^{\frac{1}{3}}-t^{-\frac{1}{3}})^2&=(-3)^2 \\
t^{\frac{2}{3}}+t^{-\frac{2}{3}}-2&=9 \\
\end{align}

よって、\(t^{\frac{2}{3}}+t^{-\frac{2}{3}}=11\)\(\tag{タチ}\)

 

\(t^{\frac{1}{3}}+t^{-\frac{1}{3}}\)の値と\(t-t^{-1}\)の値は?

\begin{align}
(t^{\frac{1}{3}}+t^{-\frac{1}{3}})^2&=t^{\frac{2}{3}}+t^{-\frac{2}{3}}+2 \\
&=11+2=13
\end{align}

\(t^{\frac{1}{3}}+t^{-\frac{1}{3}}\)は正なので、

\begin{align}
t^{\frac{1}{3}}+t^{-\frac{1}{3}}=\sqrt{13}
\end{align}

\(\tag{ツテ}\)

 

また、

\begin{align}
t-t^{-1}&=(t^{\frac{1}{3}}-t^{-\frac{1}{3}})^3+3(t^{\frac{1}{3}}-t^{-\frac{1}{3}}) \\
&=(-3)^3+3\cdot(-3)=-36
\end{align}

\(\tag{トナニ}\)

 

(2) \(x, y\)は正の実数。以下の連立不等式を考える。

\begin{cases}
\log_{3}x\sqrt{y}\;\leq\;5 \\
\log_{81}\displaystyle{\frac{y}{x^3}}\;\leq\;1
\end{cases}

 

\(X=\log_{3}x, Y=\log_{3}y\)と置くと、連立方程式はどう変形できるか?

\begin{align}
\log_{3}x\sqrt{y}&\;\leq\;5 \\
\log_{3}x+\frac{1}{2}\log_{3}y&\;\leq\;5 \\
2X+Y&\;\leq\;10
\end{align}

\(\tag{ヌネノ}\)

 

\begin{align}
\log_{81}\frac{y}{x^3}&\;\leq\;1 \\
\log_{81}y-3\log_{81}x&\;\leq\;1 \\
\frac{\log_{3}y}{\log_{3}81}-3(\frac{\log_{3}x}{\log_{3}81})&\;\leq\;1 \\
3X-Y&\;\geq\;-4
\end{align}

\(\tag{ハヒフ}\)

 

\(X, Y\)が上で求めた不等式を満たすとき\(Y\)の取りうる最大の整数は?

それぞれ、3倍、2倍して\(Y\)を左辺に持っていくと、

\begin{cases}
3Y\;\leq\;30-6X \\
2Y\;\leq\;6X+8
\end{cases}

足し合わせて\(5\)で割ると、\(Y\;\leq\;\displaystyle{\frac{38}{5}}=7.6\)になる。

よって最大の整数は\(7\)\(\tag{へ}\)

 

\(x, y\)が問題の不等式を満たし、\(Y=7\)のとき、\(x\)の取りうる最大の整数は?

まず、\(X\)の範囲を求める。

\begin{cases}
2X+7\;\leq\;10 \\
3X-7\;\geq\;-4
\end{cases}

これから、\(X\)について整理すると、\(1\;\leq\;X\;\leq\;\displaystyle{\frac{3}{2}}\)がわかる。

よって、\(\log_{3}x\;\leq\;\displaystyle{\frac{3}{2}}\)であり、\(3\)は正なので、\(f(a)=3^a\)は単調増加。

\begin{align}
x=3^{\log_{3}x}\;\leq\;3^{\frac{3}{2}}=5.19…
\end{align}

最大の整数は\(5\)\(\tag{ホ}\)

 

第2問:微分・積分

 

\(a>0\)とし、曲線\(D:f(x)=x^2-(4a-2)x+4a^2+1\)と置く。放物線\(C:y=x^2+2x+1\)とする。また、直線\(l:\)\(C\)と\(D\)の両方に接する直線とする。

(1)\(l\)の方程式を求めたい。

\(l\)が\(C\)と点\((t, t^2+2t+1)\)で接しているとすると、\(l\)はどう表せるか?

 

\(C\)を\(g(x)\)、\(l\)を\(h(x)\)とおく。

\((t, t^2+2t+1)\)における接線の傾きは、\(g'(t)=2t+2\)なので、\(b\)を定数として

\(h(x)=(2t+2)x+b\)と置ける。

\((t, t^2+2t+1)\)を代入して\(b\)を求めると、

\begin{align}
t^2+2t+1&=(2t+2)t+b \\
b&=-t^2+1 \\
\end{align}

よって\(l\)は、\(y=(2t+2)x-t^2+1\)\(\tag{アイウ}\)

 

\(l\)と\(D\)が\((s, f(s))\)で接するとすると\(l\)の方程式は?

 

上と同様に接線の傾きは、

\(f'(s)=2s-(4a-2)\)と置ける。

また\(l\)を定数\(c\)を用いて、

\(h(x)=(2s-4a+2)x+c\)と置いて、接点を代入すると、

\begin{align}
s^2-(4a-2)s+4a^2+1&=(2s-4a+2)s+c \\
c&=-s^2+4a^2+1 \\
\end{align}

よって\(l\)の方程式は、

\(y=(2s-4a+2)x-s^2+4a^2+1\)と表せる。\(\tag{エオカキク}\)

 

ここで、\(l\)は同じ方程式であることから、\(s, t\)を\(a\)の式で表すと?

 

求めた\(l\)の方程式を係数比較して

\begin{cases}
2t+2=2s-4a+2 \\
-t^2+1=-s^2+4a^2+1 \\
\end{cases}

これを整理すると

\begin{cases}
t=s-2a \\
t^2=s^2-4a^2 \\
\end{cases}

上の式を下の式に代入し、\(t\)を消去すると

\begin{align}
(s-2a)^2&=s^2-4a^2 \\
-4as+4a^2&=-4a^2 \\
as&=2a^2
\end{align}

\(a\neq0\)だから、\(a\)で割って

\begin{align}
s&=2a
\end{align}

 

また、この求めた\(s\)を\(t=s-2a\)に代入すると、

\begin{align}
t&=s-2a \\
t&=2a-2a=0
\end{align}

以上から、\(t=0, s=2a\)\(\tag{ケコ}\)

 

これから、\(l\)の方程式を求めよ

 

\(l\)の方程式、\(y=(2t+2)x-t^2+1\)\(t=0\)を代入すると、

求める\(l\)の方程式は\(h(x)=2x+1\)とわかる。\(\tag{サシ}\)

 

(2) \(C, D\)の交点の\(x\)座標は?

 

\(f(x)=g(x)\)を解く。

\begin{align}
x^2-(4a-2)x+4a^2+1&=x^2+2x+1 \\
-(4a)x+4a^2&=0
\end{align}

\(a\neq0\)だから\(a\)で割って

\begin{align}
x&=a
\end{align}

\(\tag{ス}\)

 

\(C\)と\(l\)と\(x=a\)で囲まれた部分の面積\(S\)は?

 

\(l\)と\(C\)は\((0, 1)\)で交わるので、\(0\)から\(a\)の範囲で積分すればいい。

\begin{align}
S&=\int_0^a(g(x)-h(x))dx \\
&=\int_0^a(x^2+2x+1-2x-1)dx \\
&=[\frac{1}{3}x^3]_0^a \\
&=\frac{a^3}{3}
\end{align}

\(\tag{セソ}\)

 

(3) \(a\;\geq\;\displaystyle{\frac{1}{2}}\)とする。\(C, D, l\)で囲まれた部分の面積の中で、\(0\;\leq\;x\;\leq\;1\)を満たす部分の面積\(T\)は?

 

\(C\)と\(D\)の交点の\(x\)座標である\(a\)の値により変わる。

(i) \(a>1\)のとき\(\tag{タ}\)

\(0\)から\(1\)の間で\(C\)と\(D\)は交わらないので、

\begin{align}
T&=\int_0^1(g(x)-h(x))dx \\
&=\int_0^1(x^2+2x+1-2x-1)dx \\
&=[\frac{1}{3}x^3]_0^1 \\
&=\frac{1}{3}
\end{align}

\(\tag{チツ}\)

 

(ii) \(\displaystyle{\frac{1}{2}}\;\leq\;a\;\leq\;1\)のとき

\(C\)と\(D\)の交わりを考慮して、

\begin{align}
T&=\int_0^a(g(x)-h(x))dx+\int_a^1(f(x)-h(x))dx \\
&=\int_0^a(x^2+2x+1-2x-1)dx \\
&\quad+\int_a^1(x^2-(4a-2)x+4a^2+1-2x-1)dx \\
&=[\frac{1}{3}x^3]_0^a+[\frac{1}{3}x^3-2ax^2+4a^2x]_a^1 \\
&=\frac{a^3}{3}+(\frac{1}{3}-2a+4a^2)-(\frac{a^3}{3}-2a^3+4a^3) \\
&=\frac{1}{3}-2a+4a^2+2a^3-4a^3 \\
&=-2a^3+4a^2-2a+\frac{1}{3}
\end{align}

\(\tag{テトナニヌ}\)

 

(4) \(U=2T-3S\)と置く。\(\displaystyle{\frac{1}{2}}\;\leq\;a\;\leq\;1\)のとき、\(U\)の最大値とその時の\(a\)の値は?

\begin{align}
U&=2(-2a^3+4a^2-2a+\frac{1}{3})-3(\frac{a^3}{3}) \\
&=-4a^3+8a^2-4a+\frac{2}{3}-a^3 \\
&=-5a^3+8a^2-4a+\frac{2}{3} \\
U’&=-15a^2+16a-4=-(5a-2)(3a-2)
\end{align}

よって、\(\displaystyle{\frac{1}{2}}\;\leq\;a\;\leq\;1\)なので、\(a=\displaystyle{\frac{2}{3}}\)で最大値をとる。\(\tag{ネノ}\)

このとき、最大値は\(U=\displaystyle{\frac{2}{27}}\)\(\tag{ハヒフ}\)

 

第3問:数列

 

数列\(\{a_{n}\}\)は\(a_1=0\)で\(n=1, 2, 3,…\)で以下の漸化式を満たすものとする。

\begin{align}
a_{n+1}=\frac{n+3}{n+1}(3a_n+3^{n+1}-(n+1)(n+2))・・・①
\end{align}

 

(1) このとき、\(a_2\)の値は?

①の漸化式に\(n=1\)を代入して、

\begin{align}
a_{2}&=\frac{1+3}{1+1}(3a_1+3^{1+1}-(1+1)(1+2)) \\
&=2(9-6)=6
\end{align}

\(\tag{ア}\)

 

(2) \(b_n=\displaystyle{\frac{a_n}{3^n(n+1)(n+2)}}\)と置き\(\{b_n\}\)の一般項を求めたい。

\(b_1\)の値は?

\(\{b_n\}\)の式に\(n=1\)を代入して、

\begin{align}
b_{1}&=\frac{a_1}{3^1(1+1)(1+2)} \\
&=0
\end{align}

\(\tag{イ}\)

 

①の漸化式を\(3^{n+1}(n+2)(n+3)\)で割って、\(b_n\)の漸化式を\(b_{n+1}\)を左辺にした形で作ると?

早速①の両辺を割ってみる。

\begin{align}
\frac{a_{n+1}}{3^{n+1}(n+2)(n+3)}&=\frac{n+3}{n+1}\frac{(3a_n+3^{n+1}-(n+1)(n+2))}{3^{n+1}(n+2)(n+3)} \\
b_{n+1}&=\frac{a_n}{3^n(n+1)(n+2)}+\frac{1}{(n+1)(n+2)}-\frac{1}{3^{n+1}} \\
b_{n+1}&=b_n+\frac{1}{(n+1)(n+2)}-\frac{1}{3^{n+1}}
\end{align}

\(\tag{ウエオカ}\)

 

右辺の\(b_n\)を左辺に移項し、右辺の第2項を部分分数分解すると?

\begin{align}
b_{n+1}&=b_n+\frac{1}{(n+1)(n+2)}-\frac{1}{3^{n+1}} \\
b_{n+1}-b_n&=(\frac{1}{n+1}-\frac{1}{n+2})-(\frac{1}{3})^{n+1}
\end{align}

\(\tag{キ}\)

\(n\;\geq\;2\)のとき、\(\displaystyle{\sum_{k=1}^{n-1}(\frac{1}{k+1}-\frac{1}{k+2})}\)の値と\(\displaystyle{\sum_{k=1}^{n-1}(\frac{1}{3})^{k+1}}\)の値は?

\begin{align}
\sum_{k=1}^{n-1}(\frac{1}{k+1}-\frac{1}{k+2})&=(\frac{1}{2}-\frac{1}{3})+…+(\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}) \\
&=\frac{1}{2}-\frac{1}{n+1} \\
&=\frac{1}{2}\frac{n-1}{n+1}
\end{align}

\(\tag{クケコ}\)

\begin{align}
\sum_{k=1}^{n-1}(\frac{1}{3})^{k+1}&=\frac{\displaystyle{\frac{1}{9}}(1-\displaystyle{\frac{1}{3^{n-1}}})}{1-\displaystyle{\frac{1}{3}}} \\
&=\frac{1}{6}-\frac{1}{2}\frac{1}{3^n}
\end{align}

\(\tag{サシスセ}\)

 

\(b_n\)の一般項は?

\begin{align}
b_{n+1}-b_n&=(\frac{1}{n+1}-\frac{1}{n+2})-(\frac{1}{3})^{n+1}
\end{align}

なので、両辺\(1\)から\(n-1\)まで足し合わせると

\begin{align}
(b_n-b_{n-1})+…+(b_2-b_1)&=\sum_{k=1}^{n-1}(\frac{1}{k+1}-\frac{1}{k+2})-\sum_{k=1}^{n-1}(\frac{1}{3})^{k+1} \\
b_n-b_1&=\frac{1}{2}\frac{n-1}{n+1}-(\frac{1}{6}-\frac{1}{2}\frac{1}{3^n}) \\
b_n-0&=\frac{3n-3}{6(n+1)}-\frac{n+1}{6(n+1)}+\frac{1}{2}\frac{1}{3^n} \\
b_n&=\frac{n-2}{3(n+1)}+\frac{1}{2}\frac{1}{3^n}
\end{align}

\(\tag{ソタチ}\)

 

(3) \(b_n\)から\(a_n\)を求めると?

\(b_n=\displaystyle{\frac{a_n}{3^n(n+1)(n+2)}}\)だったので、

 

\begin{align}
b_n&=\frac{n-2}{3(n+1)}+\frac{1}{2}\frac{1}{3^n} \\
\frac{a_n}{3^n(n+1)(n+2)}&=\frac{n-2}{3(n+1)}+\frac{1}{2}\frac{1}{3^n} \\
a_n=3^{n-1}&(n+2)(n-2)+\frac{1}{2}(n+1)(n+2) \\
=3^{n-1}&(n^2-4)+\frac{(n+1)(n+2)}{2}
\end{align}

\(\tag{ツテトナニヌ}\)

 

このことから全ての自然数\(n\)で\(a_n\)は整数になる。

 

(4) \(k\)を自然数とする。\(a_{3k}, a_{3k+1}, a_{3k+2}\)を\(3\)で割ったあまりはそれぞれ何になるか?

あまりを求めたいので、代入した後に合同式で変形する。

\begin{align}
a_n&=3^{n-1}(n^2-4)+\frac{(n+1)(n+2)}{2} \\
a_{3k}&=3^{3k-1}((3k)^2-4)+\frac{(3k+1)(3k+2)}{2} \\
&\equiv\frac{9k(k+1)}{2}+1\bmod3 \\
&\equiv1\bmod3
\end{align}

 

最後の合同式は\(\displaystyle{\frac{9k(k+1)}{2}}\)の分子が連続した2数の積に9をかけた形なので分数全体が3の倍数であるということを利用した変形です。

 

同様にして、\(3k+1\)のとき、

\begin{align}
a_n&=3^{n-1}(n^2-4)+\frac{(n+1)(n+2)}{2} \\
a_{3k+1}&=3^{3k}((3k+1)^2-4)+\frac{(3k+2)(3k+3)}{2} \\
&\equiv\frac{3(3k+2)(k+1)}{2}\bmod3 \\
&\equiv0\bmod3
\end{align}

 

\(3k+2\)のとき、

\begin{align}
a_n&=3^{n-1}(n^2-4)+\frac{(n+1)(n+2)}{2} \\
a_{3k+2}&=3^{3k+1}((3k+2)^2-4)+\frac{(3k+3)(3k+4)}{2} \\
&\equiv\frac{3(k+1)(3k+4)}{2}\bmod3 \\
&\equiv0\bmod3
\end{align}

 

よって求めるあまりはそれぞれ、\(3k\)のとき、\(3k+1\)のとき、\(3k+2\)のときの順に\(1, 0, 0\)になる。\(\tag{ネノハ}\)

 

\(\{a_n\}\)を初項から第\(2020\)項までの和を3で割ったあまりは?

\(1\)から\(2020\)の間にいくつの3の倍数があるかを調べる。

\(2020\div3=673.33…\)なので、673個の3の倍数がある。

よって和を\(S\)と置くと、

\begin{align}
S&\equiv673\bmod3 \\
&\equiv3\times224+1\bmod3 \\
&\equiv1\bmod3
\end{align}

よって求めるあまりは  \(1\)\(\tag{ヒ}\)

 

第4問:ベクトル

 

点\(O\)を原点とする座標空間に2点

\begin{align}
A(3, 3, -6), B(2+2\sqrt{3}, 2-2\sqrt{3}, -4)
\end{align}

をとる。\(O, A, B\)がなす平面を\(\alpha\)として、\(\alpha\)上の点\(C\)は以下の条件を満たす。

\begin{align}
\overrightarrow{OA}\perp\overrightarrow{OC}, \overrightarrow{OB}\cdot\overrightarrow{OC}=24 ・・・①
\end{align}

 

(1) \(|\overrightarrow{OA}|\)、\(|\overrightarrow{OB}|\)、\(\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OB}\)の値は?

 

\begin{align}
|\overrightarrow{OA}|&=\sqrt{(3-0)^2+(3-0)^2+(-6-0)^2} \\
&=\sqrt{54}=3\sqrt{6}
\end{align}

\(\tag{アイ}\)

 

\begin{align}
|\overrightarrow{OB}|&=\sqrt{(2+2\sqrt{3}-0)^2+(2-2\sqrt{3}-0)^2+(-4-0)^2} \\
&=\sqrt{4+8\sqrt{3}+12+4-8\sqrt{3}+12+16} \\
&=4\sqrt{3}
\end{align}

\(\tag{ウエ}\)

 

\begin{align}
\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OB}&=3(2+2\sqrt{3})+3(2-2\sqrt{3})+(-6)(-4) \\
&= 6+6\sqrt{3}+6-6\sqrt{3}+24 \\
&=36
\end{align}

\(\tag{オカ}\)

 

(2) 点\(C\)は\(\alpha\)上の点なので、実数\(s, t\)を用いて、\(\overrightarrow{OC}=s\overrightarrow{OA}+t\overrightarrow{OB}\)と表せる。

①の関係式から\(s, t\)を求めよ

 

条件から\(\overrightarrow{OA}\perp\overrightarrow{OC}\)だから内積は\(0\)。

 

\begin{align}
\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OC}&=0 \\
\overrightarrow{OA}\cdot(s\overrightarrow{OA}+t\overrightarrow{OB})&=0 \\
s|\overrightarrow{OA}|^2+t\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OB}&=0 \\
54s+36t&=0 \\
3s+2t&=0
\end{align}

また、\(\overrightarrow{OB}\cdot\overrightarrow{OC}=24\)なので、

\begin{align}
\overrightarrow{OB}\cdot\overrightarrow{OC}&=24 \\
\overrightarrow{OB}\cdot(s\overrightarrow{OA}+t\overrightarrow{OB})&=24 \\
s\overrightarrow{OB}\cdot\overrightarrow{OA}+t|\overrightarrow{OB}|^2&=24 \\
36s+48t&=24 \\
3s+4t&=2
\end{align}

導き出された2つの方程式を連立して、

\begin{cases}
3s+2t&=0 \\
3s+4t&=2
\end{cases}

を解くと、\(s=-\displaystyle{\frac{2}{3}}, t=1\)\(\tag{キクケコ}\)

 

したがって、\(|\overrightarrow{OC}|\)の値は?

 

\begin{align}
|\overrightarrow{OC}|^2&=\overrightarrow{OC}\cdot\overrightarrow{OC} \\
&=(-\frac{2}{3}\overrightarrow{OA}+\overrightarrow{OB})\cdot(-\frac{2}{3}\overrightarrow{OA}+\overrightarrow{OB}) \\
&=\frac{4}{9}|\overrightarrow{OA}|^2-\frac{4}{3}\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OB}+|\overrightarrow{OB}|^2 \\
&=\frac{4}{9}\cdot54-\frac{4}{3}\cdot36+48 \\
&=24-48+48=24
\end{align}

\(|\overrightarrow{OC}|>0\)なので、

\begin{align}
|\overrightarrow{OC}|=2\sqrt{6}
\end{align}

\(\tag{サシ}\)

 

(3) \(\overrightarrow{CB}\)を求め、成分表示で表わせ。

 

\(\overrightarrow{OC}\)を成分表示する。

\begin{align}
\overrightarrow{OC}&=-\frac{2}{3}\overrightarrow{OA}+\overrightarrow{OB} \\
&=(-2+2+2\sqrt{3}, -2+2-2\sqrt{3}, 4-4) \\
&=(2\sqrt{3}, -2\sqrt{3}, 0)
\end{align}

なので、\(\overrightarrow{CB}\)を求めると、

\begin{align}
\overrightarrow{CB}&=\overrightarrow{OB}-\overrightarrow{OC} \\
&=(2+2\sqrt{3}-2\sqrt{3}, 2-2\sqrt{3}+2\sqrt{3}, -4-0) \\
&=(2, 2, -4)
\end{align}

\(\tag{スセソタ}\)

 

平面\(\alpha\)上で\(O, A, B, C\)は、「正方形」、「長方形」、「平行四辺形」、「台形」、「どれでもない」のどれか?

 

設問の条件から\(\overrightarrow{OA}\perp\overrightarrow{OC}\)である。

ここで、\(\overrightarrow{CB}\cdot\overrightarrow{OC}\)を求める。

\begin{align}
\overrightarrow{CB}\cdot\overrightarrow{OC}&=2\cdot2\sqrt{3}+2\cdot(-2\sqrt{3})+(-4)\cdot0 \\
&=0
\end{align}

よって、\(\overrightarrow{CB}\perp\overrightarrow{OC}\)。つまり、\(OA\)と\(CB\)は平行。

しかし\(|\overrightarrow{CB}|\neq|\overrightarrow{OA}|\)なので答えは台形(平行四辺形ではない)。

\(\tag{チ}\)

 

四角形\(OABC\)の面積は?

面積を\(S\)とおく。まず、上底となる\(|\overrightarrow{CB}|\)を求める。

\begin{align}
|\overrightarrow{CB}|&=\sqrt{2^2+2^2+(-4)^2} \\
&=2\sqrt{6}
\end{align}

台形の面積は(上底\(+\)下底)\(\times\)高さ\(\div2\)なので、

\begin{align}
S&=(|\overrightarrow{CB}|+|\overrightarrow{OA}|)\times|\overrightarrow{OC}|\div2 \\
&=(2\sqrt{6}+3\sqrt{6})\times2\sqrt{6}\div2 \\
&=30
\end{align}

\(\tag{ツテ}\)

 

(4) \(\overrightarrow{OA}\perp\overrightarrow{OD}\), \(\overrightarrow{OC}\cdot\overrightarrow{OD}=2\sqrt{6}\)かつ\(z\)座標が\(1\)であるような点\(D\)の座標は?

点\(D\)を\((x, y, 1)\)と置く。

\(\overrightarrow{OA}\perp\overrightarrow{OD}\)なので、

\begin{align}
\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OD}&=0 \\
3x+3y-6&=0 \\
x+y=2
\end{align}

\(\overrightarrow{OC}\cdot\overrightarrow{OD}=2\sqrt{6}\)なので、

\begin{align}
\overrightarrow{OC}\cdot\overrightarrow{OD}&=2\sqrt{6} \\
2\sqrt{3}x-2\sqrt{3}y&=2\sqrt{6} \\
x-y&=\sqrt{2}
\end{align}

と、\(x, y\)に関する式が2つできたので、連立して解くと、

\begin{align}
x=\displaystyle{\frac{2+\sqrt{2}}{2}}, y=\displaystyle{\frac{2-\sqrt{2}}{2}}
\end{align}

すなわち、\(D\)の座標は\((1+\displaystyle{\frac{\sqrt{2}}{2}}, 1-\displaystyle{\frac{\sqrt{2}}{2}}, 1)\)
\(\tag{トナニヌネノ}\)

 

このとき、\(∠COD\)の角度は?

\(|\overrightarrow{OD}|\)を求める。

\begin{align}
|\overrightarrow{OD}|&=\sqrt{(1+\frac{\sqrt{2}}{2})^2+(1-\frac{\sqrt{2}}{2})^2+1^2} \\
&=\sqrt{1+\sqrt{2}+\frac{1}{2}+1-\sqrt{2}+\frac{1}{2}+1} \\
&=\sqrt{4}=2
\end{align}

よって\(\cos{∠COD}\)を求めると、

\begin{align}
\overrightarrow{OC}\cdot\overrightarrow{OD}&=|\overrightarrow{OC}||\overrightarrow{OD}|\cos{∠COD} \\
2\sqrt{6}&=2\sqrt{6}\cdot2\cos{∠COD} \\
\cos{∠COD}&=\frac{1}{2} \\
∠COD&=60°
\end{align}

\(\tag{ハヒ}\)

 

3点\(O, C, D\)がなす平面を\(\beta\)とする。このとき、\(\alpha\)と\(\beta\)は垂直である。三角形\(ABC\)を底面とする四面体\(ABCD\)の高さは?

まず、\(\overrightarrow{CD}\)を求める。

\begin{align}
\overrightarrow{CD}&=\overrightarrow{OD}-\overrightarrow{OC} \\
&=(1+\frac{\sqrt{2}}{2}-2\sqrt{3}, 1-\frac{\sqrt{2}}{2}-(-2\sqrt{3}), 1-0) \\
&=(1+\frac{\sqrt{2}}{2}-2\sqrt{3}, 1-\frac{\sqrt{2}}{2}+2\sqrt{3}, 1)
\end{align}

 

ここで、\(\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{CD}, \overrightarrow{OC}\cdot\overrightarrow{CD}\)を求めると、

\begin{align}
\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{CD}&=3(1+\frac{\sqrt{2}}{2}-2\sqrt{3})+3(1-\frac{\sqrt{2}}{2}+2\sqrt{3})+(-6)\cdot1 \\
&=0
\end{align}
\begin{align}
\overrightarrow{OC}\cdot\overrightarrow{CD}&=2\sqrt{3}(1+\frac{\sqrt{2}}{2}-2\sqrt{3})+(-2\sqrt{3})(1-\frac{\sqrt{2}}{2}+2\sqrt{3})+0\cdot1 \\
&=0
\end{align}

 

よって、\(\alpha\)と\(CD\)は垂直で\(CD\)が高さになる。\(∠COD=60°\)なので、

\begin{align}
CD&=OD\sin{∠COD} \\
&=2\cdot\displaystyle{\frac{\sqrt{3}}{2}}=\sqrt{3}
\end{align}

\(\tag{フ}\)

 

したがって、四面体\(ABCD\)の体積は?

まず底面となる三角形\(ABC\)の面積を求めたい。

まず、\(\overrightarrow{BA}\)を求める。

\begin{align}
\overrightarrow{BA}&=\overrightarrow{OA}-\overrightarrow{OB} \\
&=(3-(2+2\sqrt{3}), 3-(2-2\sqrt{3}, -6-(-4)) \\
&=(1-2\sqrt{3}, 1+2\sqrt{3}, -2)
\end{align}

次にその大きさは、

\begin{align}
|\overrightarrow{BA}|&=\sqrt{(1-2\sqrt{3})^2+(1+2\sqrt{3})^2+(-2)^2} \\
&=\sqrt{1-4\sqrt{3}+12+1+4\sqrt{3}+12+4} \\
&=\sqrt{30}
\end{align}

また\(\overrightarrow{BA}\cdot\overrightarrow{BC}\)は、

\begin{align}
\overrightarrow{BA}\cdot\overrightarrow{BC}&=(1-2\sqrt{3})(-2)+(1+2\sqrt{3})(-2)+(-2)\cdot4 \\
&=-2-2-8 \\
&=-12
\end{align}

よって\(\cos{∠ABC}\)は、

\begin{align}
\overrightarrow{BA}\cdot\overrightarrow{BC}&=|\overrightarrow{BA}||\overrightarrow{BC}|\cos{∠ABC} \\
-12&=\sqrt{30}\cdot2\sqrt{6}\cos{∠ABC} \\
\cos{∠ABC}&=-\frac{1}{\sqrt{5}}
\end{align}

よって、\(\sin{∠ABC}=\displaystyle{\frac{2}{\sqrt{5}}}\)

三角形\(ABC\)の面積は

\begin{align}
\frac{1}{2}|\overrightarrow{BA}||\overrightarrow{BC}|\sin{∠ABC}&=\frac{1}{2}\sqrt{30}\cdot2\sqrt{6}\cdot\frac{2}{\sqrt{5}} \\
&=12
\end{align}

求める四面体の体積は、\(\displaystyle{\frac{1}{3}}\times△ABC\)の面積\(\times\)高さなので、

\begin{align}
\displaystyle{\frac{1}{3}}\times12\times\sqrt{3}=4\sqrt{3}
\end{align}

\(\tag{ヘホ}\)

 

第5問:確率分布

 

(1) ある高校の生徒720人を対象に1週間に市立図書館で借りた本についてのアンケートを行った。

1冊も借りていない生徒612人、1冊借りた生徒54人、2冊借りた生徒36人、3冊借りた生徒18人、4冊以上借りた生徒はいなかった。

この中から無作為に1人選んだとき、この生徒が借りた冊数を表す確率変数を\(X\)とする。

 

このとき\(X\)の平均\(E(X)\)は?

 

\begin{align}
E(X)&=\frac{0\times612+1\times54+2\times36+3\times18}{720} \\
&=\frac{54+72+54}{720} \\
&=\frac{1}{4}
\end{align}

\(\tag{アイ}\)

 

\(X^2\)の平均\(E(X^2)\)は?

 

\begin{align}
E(X^2)&=\frac{(0^2)\times612+(1^2)\times54+(2^2)\times36+(3^2)\times18}{720} \\
&=\frac{54+144+162}{720} \\
&=\frac{1}{2}
\end{align}

\(\tag{ウエ}\)

 

\(X\)の標準偏差\(\sigma(X)\)は?

 

\begin{align}
\sigma(X)&=\sqrt{E(X^2)-(E(X))^2} \\
&=\sqrt{\frac{1}{2}-(\frac{1}{4})^2} \\
&=\sqrt{\frac{7}{16}}=\frac{\sqrt{7}}{4}
\end{align}

\(\tag{オカ}\)

 

(2) 市内の高校生全員を母集団とし、ある1週間に市立図書館を利用した割合を(\(p\))とする。この母集団から無作為に600人を選んだとき、その1週間に市立図書館を利用した生徒の数を確率変数\(Y\)で表す。

 

\(p=0.4\)のとき\(Y\)の平均\(E(Y)\)と標準偏差\(\sigma(Y)\)は?

 

この問題の場合、生徒が図書館に行ったか行ってないか2通りの場合を600人で集計しているので、確率変数\(Y\)は二項分布に従う。

\begin{align}
E(Y)=600{\times}p=240
\end{align}

\(\tag{キクケ}\)

\begin{align}
(\sigma(Y))^2&=600{\times}p{\times}(1-p)=144 \\
\sigma(Y)&=\sqrt{144}=12
\end{align}

\(\tag{コサ}\)

 

ここで、\(Z=\displaystyle{\frac{Y-240}{12}}\)と置くと、600は十分に大きいので、\(Z\)は近似的に正規分布に従う。

 

これを利用して\(Y\)が215以下になる確率を求めると?

まず、\(Y\)について変形すると、\(Y=12Z+240\)になる。

\begin{align}
Y=12Z+240&\;\leq\;215 \\
Z&\;\leq\;\frac{-25}{12}=-2.0833..
\end{align}

となれば良い。つまり、正規分布表の\(-2.0833..\)以下の面積を求めればいい。

 

正規分布表(問題では山の真ん中からの面積になっている)で、2.08のところを見ると、0.4812で、2.09のところを見ると、0.4817。

すなわち、\(-2.0833..\)以下の面積は\(0.5-0.4817=0.0183\)から\(0.5-0.4812=0.0188\)の間になる。

小数第2位を四捨五入すると求める確率は\(0.02\)\(\tag{シス}\)

 

\(p=0.2\)のとき\(Y\)の平均\(E(Y)\)と標準偏差\(\sigma(Y)\)は\(p=0.4\)のときの何倍か?

\(p=0.2\)のとき、

\begin{align}
E(Y)=600{\times}p=120
\end{align}
\begin{align}
(\sigma(Y))^2&=600{\times}p{\times}(1-p)=96 \\
\sigma(Y)&=\sqrt{96}=4\sqrt{6}
\end{align}

 

よって、平均、分散の順番に\(\displaystyle{\frac{1}{2}}\)倍、\(\displaystyle{\frac{\sqrt{6}}{3}}\)倍

\(\tag{セソ}\)

 

(3) 市立図書館に登録がある高校生全体を母集団とする。1回あたりの利用時間(分)を表す確率変数を\(W\)とし、\(W\)は母平均\(m\)、母標準偏差30に従うとする。この母集団から大きさ\(n\)の標本\(W_1, W_2,…,W_n\)を無作為に抽出した。

利用時間が60分を超えるかを調べるために、

\begin{align}
U_1=W_1-60, U_2=W_2-60, …, U_n=W_n-60
\end{align}

と置いた。

\(U_1, U_2, …,U_n\)の平均と標準偏差は\(E(U_1)=E(U_2)=…=E(U_n)\)および\(\sigma(U_1)=\sigma(U_2)=…=\sigma(U_n)\)となるが、その値は?

 

\(k=1, 2, …, n\)とする。

\(W_k\)は\(W\)から無作為に取り出しているので、\(E(W_k)=m\)、\(\sigma(W_k)=30\)

 

\begin{align}
E(U_k)&=E(W_k-60) \\
&=E(W_k)-60=m-60
\end{align}

\(\tag{タチ}\)

\begin{align}
\sigma(U_k)=\sigma(W_k-60)=\sigma(W_k)=30
\end{align}

\(\tag{ツテ}\)

 

ここで\(t=m-60\)と置いて、\(t\)に対する信頼度95%の信頼区間を求めたい。この母集団から無作為に抽出された100人の生徒に対して、\(U_1, U_2, …, U_{100}\)を調べたところ、その標本平均は50分だった。

標本が十分に大きいことを利用して信頼区間を求めると?(小数第2位を四捨五入する)

 

標本数100、標本平均50分、母平均\(t\)、母分散\(30\)なので、信頼度95%の区間は、

\begin{align}
-1.96\;\leq\;\frac{50-t}{\small{\displaystyle{\sqrt{\frac{30^2}{100}}}}}\;\leq\;1.96 \\
-5.88\;\leq\;t-50\;\leq\;5.88 \\
44.1\;\leq\;t\;\leq\;55.9
\end{align}

となる。\(\tag{トナニヌネノ}\)