本日、非常に大きな台風19号が来ていました。
台風といえば渦を巻いているような形をしています。
この形が対数螺旋という曲線と同じような形をしているので、今回はその対数螺旋について取り上げていきます。
対数螺旋とは
以下のような図形をみたことがあるでしょうか。
このような図形を対数螺旋といいます。等角螺旋ともいいます。
螺旋を式で表すと定数\(a(\gt0),b\)と変数\(\theta\)を用いて以下のようになります。
\begin{split}
\left\{
\begin{array}{l}
x=ae^{b\theta}\cos\theta \\
y=ae^{b\theta}\sin\theta
\end{array}
\right.
\end{split}
また、極座標表示を用いて以下のように表すこともできます。
\begin{split}
r&=ae^{b\theta}
\end{split}
次から性質を2つ紹介します。
性質1:拡大縮小が元の図形の回転と一致する
まず1つ目の性質は対数螺旋を何倍かしたものと元の対数螺旋を回転させたものが一致するということです。
$$r=ae^{b\theta}$$
に対して\(k\;\;(\gt0)\;\)倍してみましょう。任意の正の数は\(k=e^c\)と置けるので、
$$kr=kae^{b\theta}=e^cae^{b\theta}=ae^{b\theta+c}$$
ということで元の対数螺旋を\(-\displaystyle\frac{c}{b}\)だけ回転させたものと一致することがわかります。
性質2:接線と原点からの半直線のなす角の角度が一定
2つ目は原点から適当な半直線を延ばしたとき、対数螺旋の接線と半直線の交点でのなす角の角度がすべて同じになるというものです。
こうしてみると同じ角度っぽく見えますね。本当かどうか見ていきましょう。
\begin{split}
\left\{
\begin{array}{l}
x=ae^{b\theta}\cos\theta \\
y=ae^{b\theta}\sin\theta
\end{array}
\right.
\end{split}
で表されるので、接線の傾きを求めます。\(x,y\)を\(\theta\)で微分すると、
\begin{split}
\left\{
\begin{array}{l}
\displaystyle\frac{dx}{d\theta}=ae^{b\theta}(b\cos\theta-\sin\theta) \\
\displaystyle\frac{dy}{d\theta}=ae^{b\theta}(b\sin\theta+\cos\theta)
\end{array}
\right.
\end{split}
よって対数螺旋の導関数は、
\begin{split}
\displaystyle\frac{dy}{dx}=\frac{\displaystyle\frac{dy}{d\theta}}{\displaystyle\frac{dx}{d\theta}}=\frac{b\sin\theta+cos\theta}{b\cos\theta-\sin\theta}
\end{split}
\(\theta=t\)の時の接線の傾きは、
\begin{split}
\frac{b{\sin}t+{\cos}t}{b{\cos}t-{\sin}t}
\end{split}
また、\(\theta=t\)の時の原点からの半直線の傾きは、
\begin{split}
\frac{ae^{bt}{\sin}t-0}{ae^{bt}{\cos}t-0}=\frac{{\sin}t}{{\cos}t}
\end{split}
2つの直線の傾きがわかったので、そのなす角\(\alpha\)とすると、\(\tan\)が求められる。
\begin{split}
\tan\alpha&=\frac{\displaystyle\frac{b{\sin}t+{\cos}t}{b{\cos}t-{\sin}t}-\displaystyle\frac{{\sin}t}{{\cos}t}}{1+\displaystyle\frac{b{\sin}t+{\cos}t}{b{\cos}t-{\sin}t}\displaystyle\frac{{\sin}t}{{\cos}t}} \\ \\
\end{split}
分子分母に\((b{\cos}t-{\sin}t){\cos}t\)をかけて
\begin{split}
\tan\alpha&=\frac{(b{\sin}t+{\cos}t){\cos}t-(b{\cos}t-{\sin}t){\sin}t}{(b{\cos}t-{\sin}t){\cos}t+(b{\sin}t+{\cos}t){\sin}t} \\ \\
&=\frac{b{\sin}t{\cos}t+{\cos^2}t-b{\sin}t{\cos}t+{\sin^2}t}{b{\cos^2}t-{\sin}t{\cos}t+b{\sin^2}t+{\sin}t{\cos}t} \\ \\
&=\frac{{\cos^2}t+{\sin^2}t}{b({\cos^2}t+{\sin^2}t)} \\ \\
&=\frac{1}{b}
\end{split}
よって\(\tan\alpha\)が\(t\)の選び方によらず一定なので、対数螺旋の接線と半直線の交点でのなす角の角度が一定であることが示せました。
この事実があるので等角螺旋とも呼ばれているのです。
まとめ
対数螺旋には他にも面白い性質を持っているのですが、今回は代表的なものを2つ紹介しました。
ということで今回のまとめ。
- 対数螺旋とは\(x=ae^{b\theta}\cos\theta,y=ae^{b\theta}\sin\theta\)で表される曲線
- 対数螺旋を何倍かしたものと元の対数螺旋を回転させたものは一致する
- 原点から適当な半直線を延ばしたとき、対数螺旋の接線と半直線の交点でのなす角の角度がすべて一致する
ちなみに台風が対数螺旋みたいな形になるのは台風周辺の風が中心に対して一定(に近い)角度で吹くからみたいですよ。